超多数・多種移動体による人流・物流のためのダイナミックセキュアネットワークの研究

超多数・多種移動体による人流・物流のためのダイナミックセキュアネットワークの研究

背景

Beyond 5G推進戦略では、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合したCyber Physical System(CPS)と、それを支えるBeyond 5G情報通信ネットワーク基盤によってSociety 5.0を実現することが目標として掲げられている。その中でもモビリティ分野では、自動運転車やドローン、配送ロボットなどの多種多様な移動体から生成される交通関連データを活用し、高度な交通サービスや物流サービスを創出することが期待されている。

一方で、多数の移動体が同時に運用される環境では、機器間で安全かつ効率的に情報交換を行うためのセキュリティ技術が不可欠となる。また、「官民ITS構想・ロードマップ」および「空の産業革命に向けたロードマップ2021」では、ドローン物流の社会実装に向けた課題として、複数事業者による多数機同時運航の実現や機体認証の標準化が挙げられている。

これらの課題を解決するため、本研究では、高密度かつ超多数の移動体が安全に協調稼働するための基盤セキュリティ技術として、アグリゲートメッセージ認証による効率的な認証方式、高信頼な位置情報の生成・記録技術、および情報の秘匿・共有を実現する技術の研究開発に取り組んだ。

研究体制

本研究では、以下の研究開発項目について産学連携で研究を実施した。

ワイヤレス通信の効率的かつセキュアな情報交換方法のための要素技術研究
  • 1-a 通信効率性の高い認証方法(ジャパンデータコム株式会社)
  • 1-b 柔軟性が高く検証可能な属性提示方法(早稲田大学)
  • 1-c 信頼性が高い位置情報の生成・記録(早稲田大学)
ソフトウェア・ハードウェア実装に向けた応用研究
  • ジャパンデータコム株式会社
研究開発内容
1. 通信効率性の高い認証方法

・アグリゲートメッセージ認証技術による相手認証技術の研究開発

共通鍵暗号基盤に基づくエンティティ認証技術の枠組みにおいて、アグリゲート相手認証(片側認証方式)の形式的モデルおよびセキュリティ要件の定式化を提案した。さらに、その実現方式として、アグリゲートメッセージ認証方式とグループテストアルゴリズムを組み合わせた構成法を研究開発した。

また、本技術を発展させることで、アグリゲート相手認証(相互認証方式)や、メッセージ認証とエンティティ認証を同時に実現するアグリゲート認証方式についても検討を行い、大規模移動体ネットワークにおける効率的な認証技術の可能性を示した。

・アグリゲート署名技術による相手認証技術の研究開発

公開鍵暗号基盤に基づくエンティティ認証技術の枠組みにおいて、アグリゲート相手認証(片側認証方式)の形式的モデルおよびセキュリティ要件の定式化を提案した。さらに、その実現方式として、アグリゲート署名方式とグループテストアルゴリズムを組み合わせた構成法を研究開発した。

本構成法は、量子計算機による攻撃に対しても安全性が期待される計算困難問題に基づく方式への適用が可能であり、将来の量子コンピュータ時代を見据えたアグリゲート相手認証技術としての適用可能性について検討を行った。

2. ソフトウェア・ハードウェア実装に向けた応用研究

研究開発項目1で得られた成果を基に、ソフトウェアおよびハードウェア実装を想定した応用研究を実施した。

前年度に構築した小規模プロトタイプによる性能評価結果を踏まえ、大規模環境を想定したシミュレーションを実施し、通信性能および認証性能の評価を行った。

衝突防止シナリオでは、ドローンの位置情報送信から飛行制御情報取得までの遅延時間について評価を行い、0.1秒を目標としたリアルタイム処理の実現に向けた検討を実施した。また、物資管理シナリオでは、100万台以上のスマートタグ情報の送信を想定し、付加されるセキュリティ情報について66%以上の周波数帯域削減効果を確認するとともに、その実現に向けた課題整理を行った。

さらに、前年度に構築した衝突防止シナリオに関するプロトタイプを基盤としてデモシステムを構築した。本デモシステムでは、ドローン間の位置情報共有の仕組みや、位置情報送信から飛行制御情報取得までの遅延時間、ならびに認証情報圧縮による周波数帯域削減効果を確認できる環境を整備した。

これらの成果については、展示会や研究発表会等でデモを実施し、研究成果の社会認知および普及活動を推進した。

本研究のJDCが担当した部分では、様々な方々に従事していただいたため、担当部分を紹介する