研究者育成のために

2016年12月8日にJDC財団にてATR社長であり、JDC財団運営委員である平田康夫氏に色々とお話を伺うことが出来ました。
ATRは企業等との緊密な連携、共創しながら世界トップレベルの研究開発を推進しつつ、研究成果を活かした事業の展開と健全な経営体質の実現を目標として掲げています。
その実現の為には世界のネットワークの中での日本の優秀な研究者を育てる必要性が話されています。
JDC財団ではこれから留学する研究者を支援するだけではなく、海外で活躍される研究者を日本トップレベルの研究機関のATRの各機関にご紹介させて頂きます。

株式会社国際電気通信基礎技術研究所
代表取締役

平田 康夫



  • (1)日本の底力をあげるには留学を志す人達を支援する必要があると思われますが、どうすれば海外に出て行くインセンティブを与えられるとお考えですか?

  • 留学とは異質なものが体験でき、様々な国の人々と交流できる場であり、その意義については個人のみならず社会全体の理解及び適切な支援も大切だと思っています。
    高齢社会、社会保障費の増額、少子化などにより予算配分も減少の傾向にあるようですが、向学心に富む若者が国際的に切磋琢磨し、大きく成長する絶好の機会であり、留学支援のための予算配分の減少に歯止めをかけることも必要であると考えます。
  • (2)単身留学されている人達に対してどのようなことを期待されますか?

  • わざわざ海外に出かけなくても、日本においても質の高い研究を追求することができるが、留学の目的として異なった環境での実体験、異文化の人達との交流による人的ネットワークの構築、異質なものを理解出来る場として大切です。
  • (3)国際的に流動するネットワークに日本人研究者が入る為にはどのようにすれば良いでしょうか?

  • 進路の担保無く海外に踏み出すことに躊躇される人も数多くいると思いますが、留学することにより異なる文化・伝統や、異質の価値観を持った若者との交流などを通じて、視野が広がり、様々な得難い経験ができます。
  • (4)留学しない理由は帰った後の保証がないからだと言われていますが、ATRでの留学生、研究者の受け入れの現状にについてお聞かせ頂けますでしょうか?

  • 例えば、私が勤務しているATRでは、約200名の研究者が人工知能やロボットなどの先駆的な研究開発に取り組んでいますが、研究者の3分の1から4分の1は外国籍の研究者です。日本人のみならず、ヨーロッパ、アメリカ、アジア諸国からも優秀な研究者、プロジェクトにあった人材を公募等により採用しています。また、海外の大学や研究機関と積極的に研究交流を進めています。 優秀な人財にはそれなりの処遇やインセンティブを与えています。海外で切磋琢磨した優秀な研究者は、発想や研究に取組む姿勢が一味違うと感じることも多々あります。